「ぶはっ」
「あはは」


すると、同時に頭の上からそんな声が降ってくる。

私は目をぱちくりとさせながら、恐る恐る顔を上げた。
二人とも口元を手で隠して肩を震わせている。



「……めっちゃ、面白い。ボタン」

「……ボタン」

「あの、何かおかしな事…」

「いや、君は悪くないよ。ただ言い方が面白くて。
えっと、君の名前って?」

「私は…」

「高田さん」

「え」


名前を言おうとしたところで、小野君に遮られる。
驚いて彼の顔を見れば、ばちっと視線が交わった。


「高田、紀花さんだろ?」

「……」


まさか、私の名前を知ってるなんて思わなかった。
コクコクと私は何度も首を縦に振った。