「…晃っ!」

「なに?」

「その……携帯に付けてたクマのマスコットなんだけど…」

「…ああ」


晃は、携帯を入れているズボンのポケットに目を向ける。


「紐が切れたなら、あたしが縫ってあげようかっ?」

「…いや、べつにいいよ。それに、紐が切れたわけじゃねぇし」


そう言って、晃はあたしに背を向けて歩き出す。

すると、すぐにまた晃が振り返った。