「今日の凛花ちゃんは……特に怯えている」




その言葉に、私は純也さんから視線を外し、下を向いてしまった


気づかれてはダメ、
大智さんに心配かけたくない
細川さんや外崎さんにも……
だから今日一日中、頑張っていたつもり



なのに、まさか怯えているなんて…
ハッキリ言われたら
もう、私の身体は止まらない



そう、私は松川さんが怖い
あの日以来、松川さんを思い出すたびに
恐怖でならない



「俺に言えないなら、友理に言ってくれたらいい……必ずチカラになる」



大智さんと言い、純也さんといい、
どうしてそんなに優しいの?


「あ、俺に惚れないでよ?友理に殺されちゃうし、大智に絶交されちゃうから」



そう笑いながら、玄関へ向かっている


「友理を迎えに行ってくるね、帰りにビール買ってくるわ」



そう言って、出て行ってしまった
多分、純也さんの優しさだ
私が泣いていると思ったんだろう…


私は手を止めていた作業を再開する
早くカツを揚げなきゃ……



純也さんと話して
少しだけ、気持ちが楽になった気がした