ごめん……
そう大智さんの言葉が聞こえたのは
私の耳元だった
大智さんの声は震えてるようにも聞こえる
そして……身体も震えている?
大智さんが強くギュッと抱きしめるから
本当に震えているのか、わからない
それより、なにより
私……大智さんに抱きしめられてます
……何故だ?
そんな疑問と同時に
やっぱり、大智さんに触れられても
嫌じゃない、むしろ心地よく思う
こんな時でも、私は冷静なんだ
まぁ、少しは驚いているけど
私は大智さんの背中に腕を回し
子供をあやすようにトン、トンと背中を叩く
『大丈夫です。腫れも引きますし、切れたら口も治ります。……それに、私もやっちゃいましたから……グーパンチ』
そう言いながら、わらってしまった
女なのにグーパンチだよ?
般若面の女の驚いた顔、
今思い出しても、笑える
「……けど、凛さんに怪我させた」
それでも大智さんは笑ってくれない
大智さんらしくないよ……
『もう、気にしすぎ。お嫁にいけない顔なら、大智さんがもらってくださいよ』
笑いながら言った
そう……冗談だよ
だから、いつもみたいに笑って。