大智さんが帰ってきたのは10時過ぎ
大智さんと入れ替わるように、細川さんは帰って行った
大智さんは疲れた顔をしている
けど、それ以上に心配なことがある
『……痛くないですか?』
気になり、血が滲んでいる
唇に私の指先が触れる
血はもう固まっていた
けど、痛々しい
「俺は大丈夫……それより、凛さんだよ」
そう言って、私の頬に触れる
剥がすよ?
そう言って、ゆっくり湿布を剥がしていく
剥がされている部分がヒリヒリして
少し痛さがあり、顔を歪めると
大智さんは更にゆっくり剥がしていく
大智さんも細川さん同様
痛々しい顔で私の頬をみる
そんなに酷いのかと不安にもなる
酷い?と聞くと
かなり、と返ってくる
『あちゃー、嫁にいけないね』
そう笑ってみたけど
大智さんはまったく笑わない
自分のせいだと思ってるんだろう
確かに、大智さんのせいかもしれない
『元はと言えば、私が悪いですから』
そう、私が大智さんに迷惑をかけている
私が大智さんに甘えなければ、彼女と別れることも、彼女の友達が怒ることもなかったんだろう