簡単なものでごめん、


いやいや、十分ですよ
二人で手を合わせ、いただきます、と
食事を始めた



やはり大智さんは
会社でもプライベートでも
あまり変わらない
いつもの大智さんだ



『……やっぱり、悪いです』


何が悪いのか……
彼女さんにだ


大智さんはくるくるとフォークで
パスタを巻いていた



『大智さんのご好意で、お部屋を借りましたが……彼女さんに申し訳ないです』


だから……


だから……?
どうする?
自分のアパートに戻る?
またもし篠原さんが来ても
大丈夫って言える?


そう考えたら、それ以上何も言えなくなってしまった



そんな私を見かねてか、大智さんはため息ひとつついた


「凛さんが気にしてるのは、彼女のこと?」


私が頷くと



「あとは?それ以外で気にしてることはない?あるなら今言ってっ」


なんとなく、キツイ言い方に
怒っているのでは?と思い
私はそれ以上は言えなかった




「彼女ね……。別れたよ?1週間前かな?社長が提案した日に。だから余計な心配は必要ないから」


そう言って、パスタを口に入れる大智さん