結局、健人とはそれっきり
私から連絡することもなかった
健人はわかっていたのかもしれない
初めから恋愛感情が私には無かったことを、
変わらない日々
健人と頻繁に会えていたわけじゃ無かったから、何も変わらない
松川さんと関係を持って2カ月が過ぎた
いつものように仕事を終え
アパートへ帰った
明日は休みだから、撮りだめしたドラマでも見ようかと考えながら歩いていた
アパートが見えた時、私の足は止まった
見たことない車が停まっていたが
その車にタバコを吸いながらもたれている松川さんがいた
私の存在に気がついた松川さんはタバコを消し、私の方へ歩いてきた
「おかえり」
『……ただいま』
もう二度とプライベートで会うことはないと思っていた
松川さんは私を抱き寄せた
「会いたかった、凛花」
松川さんの声が身体中に響く
私の腕は自然と松川さんの背中へ回された
たった一度だけなのに
それだけで、私は松川さんを欲していた