「凛花……彼氏いるだろ?」
『……いる…よ?』
「別に、別れと欲しいわけじゃないよ?俺も奥さんとは別れられないし……ただね、凛花のちょっとの時間を俺に欲しいんだ。凛花と少しでも一緒にいたい」
『……それって……不倫?』
そういうと、ちょっと困った顔をする松川さん
「……そうだなー……。けど、俺は凛花とこうなれて嬉しかったよ?」
そう言って、松川さんはまた私に覆いかぶさってきた
私はそれを拒まず松川さんの首に腕を回した
結局、こうなるんだ
どんなに頭ではわかっていても
身体は松川さんを求めてしまった
「また」
そう言って私にキスをして
松川さんは部屋を出て行った
時計を見れば、午前2時は過ぎていて
終電はもうない
タクシーで帰ったんだろう
松川さんの連絡先を聞いていない
もちろん、私のも聞かれていない
だから「また」は、ない
松川さんは今までと変わらず
廊下で会っても、普通に話しかけてきた
何もかわらない
一夜限り……だったんだ