「神坂さん、電車?駅どこ?」
『私はN駅です、降りて10分くらい歩きますが、酔い覚ましには丁度良いんです』
友達や同期の人達と飲んだあとは
必ず終電で帰っていた
女一人の夜道は危険だよ?
確かにそうかも
『けど、24時間スーパーもあるし、意外と明るいんです!松川さんは?』
「俺はK駅だ。N駅の二つ後だな」
結構な高級住宅街じゃないですかっ
良い暮らし……なんだろうか
『会ったことないですね?……もしかして、車通勤ですか?』
「ああ、今日は忘年会だからね。けど今日はラッキーだ。……神坂さんに会えて話ができたから」
そう言って、笑っている松川さん
妻帯者で愛妻家の松川さん……
そんなことを言われるなんておもってもみなく、私は恥ずかしくなった
『ま、松川さん、そんなこと言ったら
みーんな勘違いしちゃいますよ?』
なんて笑いながら答えたら
ふわっと優しく私の手を取る松川さん
取った手を、松川さんは自分の口元に移動し、私の指にキスを落とした