『た、大智さんっ、勝手に困りますっ!ご飯が食べたいなら実家に帰るなり、彼女さんに作ってもらったらいいじゃないですか?』


何故私が?と疑問に感じてしまう
けど、大智さんはそんなの気にもせず
私の部屋の前にいて
開けろ、と言う態度だ



『……食べるんですか?』


「食べるよ?」

半笑いで答えてくる大智さん
なぜ疑問系なんだ?
彼女がいるって答えた時も
疑問系だった


意味がわからない
しかたがない…と、部屋の鍵を開けた



『ただいま』


そう言って、部屋に入る


誰かいるの?と大智さんは驚いている
そりゃそうだ
一人暮らしの人って、そんなこと絶対言わないだろう


けど、部屋からは何も反応ない
当たり前が、一人暮らしなんだから


私はそのままリビングへ進む
鞄をソファに置き
棚の上に設置してある位牌と写真に手をあわせる


『ただいま、お父さん』


私の父は……去年亡くなった
離れて暮らしていた
前の日まで普通に、元気に生きていた
けど、その日……事故に遭った

仕事中の事故だった
お父さんが亡くなって、私は一人になった