「胡桃ちゃん、お願いがあるんだけど・・・」

12月に入ってしばらく経った頃、店長は満面の笑みを浮かべながら、私を店長室に連れ込んだ。


「何ですか?
急用ですか?」


「実は、その、12月のシフト表を全員分チェックしたら、胡桃ちゃん、23、24、25ってオールフリーで大丈夫ですって書いてあったよね?」


そんなこと改めて言ってほしくないんですけど・・・


「はい」



「実は、その、バイト代上乗せするから、その・・・」



「何ですか?」


店長は、頭を抱えて目を閉じたままこう言った。



「パンダの着ぐるみに入ってほしいんだ」



「は?」


私が働いている中規模チェーン店のケーキ屋は、最近、隣にお洒落なケーキ屋ができたせいで、クリスマスケーキの予約が伸び悩んでいた。
そこで、駅前に近い立地条件は最高のこの店の前に可愛いいパンダに立ってもらい、集客を上げようという店長の魂胆だった。