「早くしろよ。
綾音ちゃん、待ってんぞ。
女待たせるなんて、兄ちゃん、最低―!」



叫ぶように言ってから、耀くんはあたしに手を振り、ものすごく元気にかけだした。



「んじゃ、綾音ちゃん。
俺、先行くねー。
バイバイっ」



「うん。
バイバイっ」



そう言って、あたしが手を振り返した頃には……。



とっくの昔に、耀くんの姿はなかった。



「…………」