あたしの後、月星の家から出てきた羽海が、あたしの顔をのぞきこむ。



「ううん。
なんでもない」



そう言って、すぐに笑顔を作ったけど……。



本当は、なんでもなくなんか、全然なかった。



だって……。



あたし……。



月星に、キスされそうになったんだもん。



抱きしめられて、髪を優しく撫でられて。