「えっと、小説?」
「多分」
「多分?」
何とも曖昧な答えに思わず怪訝そうな表情を出してしまう。
しかし柏木くんにとって私の反応は気に掛ける対象ではないらしく、抑揚のない表情を変えず、「そこまで意識して読んでない」誰にともなく小さく呟いた。
分からない。
ジャンルをあまり意識をしないでどうやって本を読むのか。
柏木くんって、よく分からない。
「柏木くん、おはよう」
「おはよう」
挨拶をすれば返してくれる。
「柏木くん」
「何」
名前を呼び掛けると反応する。
「毎日本を読んでて飽きないの?」
「さあ」
「お昼食べないとお腹空かない?」
「どうだろう」
「友達と話したりしないの?」
「んー」