「おいおいふざけんなよ?おっさんがしゃしゃり出んじゃねーよ」
「この人数わかってんのか?あ?」
はいはい分かってますとも。
ちゃんと目はついております。
週末の賑わう都内の某路地裏。
一歩入れば薄暗く、生ゴミの腐ったような異臭が鼻につく。
上からパラパラと何かが落ちてきたかと思えば、その路地を挟む建物の3階あたりで錆びた非常階段の手すりに背をかけながら煙草を吸う女の姿があった。
体のラインをわざと際立たせるストリップの入った赤いドレス。まるでクラゲのように盛られた髪。その建物で働くキャバクラ嬢だろう。こちらには気づいていない。
「よそ見してんじゃねーよ!!!」
いかにもヤンキーでございといった風体のダボダボした服を着た男が拳を向けてくる。
が、それを躱す。
カスリもしないし、あの拳の握り方だと殴った時に痛いのは多分相手の男だ。
4対1。
傍から見たらぶんが悪いのは俺。
気にしてることだから自分では言いたくないのだが、体格も俺はそんなに良くない。
でも、4対1ならやれる。
1人目の躱した男が背後から近づくのを感じて肘鉄をみぞおちに入れると、小さくうめき声を漏らしてその場に倒れた。
「てめぇ!!!!」
それを合図に残りの3人が一斉に向かってくる。
さて、楽しい遊びの時間だ。