琉偉は、雪の居場所がわかると、ホッとして、キッチンに向かった。

「…雪」
「ぁ、おはようございます。もう起きたんですか?」

雪の優しい笑顔と、朝の挨拶に、胸がほんわかと温かくなる。

琉偉は、雪に近づくと、雪を抱き締めた。

「おはよ」
「…琉偉さんは、…実は、甘えん坊なんですね?」

その言葉に、思わず雪を見下ろすと、雪は、クスクスと笑う。

「雪がまた、いなくなったんじゃないかと思って、焦ったから。居てくれて、安心した」

素直にそう言えば、雪はちょっと困った顔をして、琉偉に抱きついた。

「もう、琉偉さんから、離れません。嫌っていっても絶対」

「そんなこと言わないよ。ずっと、ずっと、雪だけをみてきたんだから」

二人は見つめ合うと、とちらからともなく顔が近づき、触れるだけのキスをした。

まるで、新婚夫婦のようだ。

…それからの二人は、一緒に朝食を取り、身支度をする。

…雪は、着替えようと思ったが、鞄だけをもって飛び乗ったので、着物しかない。

これでは、一緒に出社なんて、出来ない。

困っていると、琉偉が、寝室に連れていき、クローゼットを開けた。

その中を見て、雪は目を見開いた。

沢山の女性ものの服が、かけられている。それに合わせるための靴やバッグまで。

「雪が、突然泊まっても大丈夫なように、姉貴に頼んで、買い揃えてもらってたどれでもいいから、好きなものを着て」

そう言うと、琉偉は、寝室を出ていった。