「ママ~、喉乾いた。
あ!僕も杏仁豆腐食べたいよ!」
「わかった。
じゃあみんな呼んできて?
みんなで食べよ!」
「………由茉っていい母親だよな。」
「なに、颯。急に。」
「美月もそこまでとは言わねーけど
もう少し頑張ってほしいわ。」
「ふふ、そういうのはね、
日頃の感謝の気持ちでやる気が上がるよ。
湊毎日ありがとうって言ってくれるし。
それだけで頑張ろうって思えるよ。」
「感謝の気持ちね。
参考にするわ。」
「今度は美月もつれてきてね。」
「おう。」
それからも俺らはいろんな話をして
夕方解散した。
「結月~お片付けは~?」
「はーい…」
ん?
「なんだ、結月。
元気ないな?」
「みんなバイバイしたから…。」
「なんだ、でもまた幼稚園で会えるだろ?」
「……うん、そうだね!」
「よし、じゃあちゃんと片付けて、
終わったらママの手伝いをしよう。
パパも一緒に片付けるから。」
「うん!」
……かわいいな。
結月もあいつら5人とこれからも
仲良くしててくれるといいけどな。
「湊、結月、ご飯だよ。」
「はーい!
今日のご飯はなにかな~!」
………ちょっと昔の由茉みたいだな。
「明日はみんなで出掛けるか。
結月、どこいきたい?」
「遊園地!」
「遊園地~?」
「隼くんが行ったんだって!
僕も行きたい!」
「よし、じゃあ明日はみんなで遊園地な。」
数年後…… E N D
☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆
結月side
「なー、結月。
伝説の姫って知ってるか?」
「伝説の姫~?
なんだよ、それ。
つーかこの忙しいときになんだよ。」
こいつは幼馴染みの愛希。
「もう20年以上前の話だけど。
如月にいた姫だってさ。
この前龍輝さんに聞いた。」
龍輝とは先代の如月の総長。
そして俺のいとこだ。
俺らは龍輝から如月を引き継ぎ
俺は総長、愛希は副総長だ。
「なんで龍輝がそんな前のこと知ってるわけ?」
「龍輝さんは会ったことあるんだと。
それに一輝さんの息子な訳だしな。
20年以上前なら一輝さんが近いだろ。
如月の姫ってさ、基本幹部しか話せねーじゃん。
なんかそれが暗黙の了解っつーか。
愛美もそうだし。」
愛美は愛希の双子の妹で俺の彼女。
つまり今の如月の姫ってことだ。
「でもその伝説の姫は
下のやつらともすげー仲良かったらしいよ。
すげー慕われてたって。
お前一輝さんの甥っ子なわけだし
今度聞いてみろよ。」
「おう、そうするわ。」
「そしたら俺にも教えろよ。
とりあえずその時の如月って
すっげー強かったんだと。
その姫のおかげで。」
へー………
「ねぇ、愛希。
それって私が力不足って言いたいの?」
「まぁ愛美だしな。」
「は!?うざ。」
「兄弟喧嘩は外でやれな。」
そう突っ込んだのはハル。
ここの幹部
愛希、ハル、隼、貴斗はみんな幼馴染み。
まさかここまで一緒とはな。
そこに突然貴斗が入ってきた。
「俺も龍輝さんから聞いて知った。
つーか結構有名な話らしいし。
で、俺も調べてんだけどさ
さすが姫なだけあって出てこない。
それどころか歴代幹部
何人か偽名なことがわかったし。
この名簿。
もうすぐ総会じゃん?」
「偽名?」
「まー大人になると
族の総長とか幹部とか
バレるとめんどいんじゃねーの?」
なるほどね。
「とりあえず俺すげー気になるからさ。
どんな人か。
だから一輝さんに聞けよ。
で、俺に連絡をしろ。」
「なら愛希も来いよ。
今日一輝さん俺んち呼ぶから。」
あの人喜んでくるしな。
母さんの飯が食えるって。
そして夜
俺はあのあとすぐ一輝さんに連絡をして
今は母さんと愛希と家で待っている。
「ただいま。」
父さんが先に帰ってきた。
「おかえりなさい。
今日ね、一輝が来るよ。」
「一輝さん?なんで?」
「結月が聞きたいことがあるんだってさ。」
「聞きたいこと?」
そう言って俺に目線を移した。
「俺の族の昔のこと。」
「暴走族か。」
父さんと母さんは俺が如月に入ると言った時
全く反対をしなかった。
俺は橘グループの跡取りなわけだし
絶対反対されると思ったのに。
それどころか、総長になったとき
二人とも喜ぶ始末。
予想外の反応にただただ驚く。
「それより結月、テストの結果。」
「あぁ。はい。」
父さんは勉強さえしとけば
何をしようと特になにも言わない。
「今回も完璧だな。」
完璧にやらねーと
父さんからありえねーくらい
殺気が放たれる。
あれはまじで怖い。
こいつ何者って本気で思う。
ピンポーン…
「あ、きっと一輝だよ。」
それからしばらくして、一輝さんが来た。
「おひさしぶりです。一輝さん。」
「よう、湊。久しぶりだな。」
怒るとすげー怖い父さんも、
母さんの兄だからか一輝さんには頭が上がらない。
「で、結月。
聞きたいことって?」
「あぁ、龍輝から聞いたんだけど
如月の伝説の姫って?」
「伝説の姫?」
反応したのはなぜか母さん。
「あぁ、有名な話だな。
由茉は知らないか。
湊は知ってるよな?」
「………まぁ。」
なんで父さんも知ってんだ?
昔の如月ってそんなに情報が駄々もれだったのか?
「あの、その姫のこと
詳しく聞きたいです。」
愛希が聞いた。
「あぁ、いいよ。
でも由茉。静かにな。」
なんで母さん?
「はいはい。
ご飯は?」
「あとで。」
「その姫はな、突然如月に来た。
当時の幹部は人を全く信用しないやつらばっかでな。
俺はそいつらに姫なんてあり得ないと思ってた。
そしたら当時の総長が突然つれてきて
こいつを姫にすると言ったんだ。
当然、反対するやつはいない。
総長が決めることだからな。
でも他の幹部のやつらは姫のことを嫌ってた。
まぁ、一人例外のやつはいたんだけど
それ以外の幹部はその姫を受け入れなかった。
だけどな、その姫は実力で周りを認めさせた。
まずは幹部の一人。
そいつは孤独な男だった。
その姫はその孤独な心にすんなり入り込んだ。
その姫も孤独なところがあったから。
その姫はそいつのために一人である女と戦った。
真正面からぶつかって、男に襲われそうになって
その女を殴って説教した。
それで人を信用できない一人を虜にした。」