「じゃーん!これ作ってきた!」
哉斗が突然言い出した。
「…シュークリーム?」
「うん!中にはコーヒークリームが入ってて
ぜんっぜん甘くないからみんなで食べよ!」
「哉斗、これ普通のシュークリームなわけ?」
爽が聞いた。
「んなわけねーじゃん!
もちろんロシアンルーレット!」
「ひとつだけまずいってわけね…」
私は苦笑いで言った。
「はいはい、みんな一つずつもって!
みんな一斉に食べよ!」
哉斗がどんどん進めていく。
「はい、みんな持った?
じゃあいくよ!せーのっ」
哉斗の掛け声で6人が一気に食べた。
…うん、甘くない。
なんとなくだけどこういうのに当たるのは…
「うっ…辛!!」
やっぱり純だ。
「「「あはははは!」」」
私と哉斗と颯が爆笑してしまった。
「はい、純、これ飲みなよ。」
私は純に飲み物を渡した。
純は勢いよく飲んだ。
「うっ…ってコーラじゃん!
いってー…おい、由茉!」
爆笑してる私に怒る純。
「ほら、純。水。」
爽が水を渡した。
しばらくして落ち着いた純。
「哉斗、これ何入れたんだよ。」
「いっぱい入れてわかんない。」
笑いすぎて涙を拭きながら答えた哉斗。
はぁ、楽しい。
こんな楽しいの久しぶりだよ。
「みんなありがと。
私すっごい楽しいよ。」
私はみんなにお礼を言った。
「俺らも楽しいよ。
こんな楽しいの久しぶりだな。」
湊が言った。
「やっぱ由茉ちゃんいないとね!」
…哉斗。
「ありがと。
哉斗あそぼ!湊も行こ!」
私たち6人はまた遊びにいった。
そして夜
私はぼーっと海を眺めていた。
「由茉ちゃん!花火やろー!」
「花火も持ってきたの?」
「だって夏らしいこと全然してないし!」
「うん、そうだね。
私も全然してないや。」
「じゃあ早くやろ!」
私はみんなのところに移動した。
「…量ありすぎじゃない?」
「だってこの人数だし!
はでにやりたいじゃん!」
私と哉斗以外のみんなはもうすでにやっていた。
「はい、由茉ちゃん!」
「ありがと。」
私と哉斗も花火を始めた。
「あ、和真。」
和真と目があい、こちらに来た。
「この前はありがとね。」
「いえ、俺も楽しかったです。
由茉さんがまた元気になってよかったです。」
そこに湊が来た。
「もう人の女連れ回すなよ。」
「湊、もしかして和真にも何かいったの?」
「…わりぃかよ。」
「もう、誰のせいなのよ。」
「………。」
「由茉さん、いいんです。
俺が湊さんに吹っ掛けたんで。
二人がまた一緒にいてくれれば
俺はそれでいいんで。」
和真は笑ってそう言って大翔のところへ戻った。
「湊、心配かけてごめんね?」
「…なんで由茉が謝んの。」
「だって、嫉妬したんでしょ?」
「………。」
「ふふ、だいすき。」
「俺も。」
「花火やろ。」
私たちは手を握って花火を取りに行った。
みんなが笑顔で花火してて
隣には湊がいて、
周りには幹部のみんながいて…
私はとっても幸せの気分になった。
長かった夏休みが明け、2学期がスタートした。
今日から9月。
「由茉、おはよ。」
「おはよ、湊。」
私たちは今日も仲良く一緒に登校です。
「久しぶりに制服姿見るとかっこいいね。」
「さんきゅ。行くぞ。」
私が後ろに乗り、学校へ向かった。
資料室も久しぶりだ。
「おはよ。」
私はみんなに挨拶をした。
「おはよ!由茉ちゃん!今日もかわいいね!」
「なにそのチャラ男みたいな発言。」
哉斗、変。
「えー!素直にいっただけなのに!」
「哉斗うるせぇよ。」
と湊に突っ込まれる。
「ってか今日席替えすんのかなー。」
と純がいった。
「純はまた前じゃない?」
と颯が答える。
「颯は女の子と普通に話すの?」
遊ぶことはなくなったけど…
「んー、まあ適当にあしらう。
素を見せんのはやだしね。」
「ふーん、そっか。」
「とりあえず来月末の文化祭に向けてだね。」
文化祭か…そういえば去年はいろいろあったな。
「今年何やるかなー?」
「さぁなー。普通に食べ物売るでいいんじゃん?
カフェとかだったら全力で反対する。」
と純が言った。
「俺も。接客とか無理。」
と湊。
確かにこの5人は嫌がりそう。
「ま、俺は女の子ならいいけどね。」
と颯。
基本的に女の子大好きなんだよね~。
そして私たちは教室へ向かった。
「おっはよー。」
私は教室に入るなり挨拶をした。
「由茉~!!」
「莉桜~!!ひさしぶり!」
「もう!由茉いきなりアメリカ行っちゃうんだもん!
全然遊べなかったじゃん!」
「ごめんごめん。」
「荻山は知ってたのかよ。
由茉がアメリカ行ったこと。」
湊が聞いた。
「もちろん。出発前に連絡くれたから。」
「…秀には?」
「真っ先にいったけど?」
「…なんだよ…。俺ら知らなかったのに…」
と落ち込む湊。
「由茉、橘くんたちに言わなかったの?」
「うん…だって湊たちに会いたくなくて
アメリカいったんだもん。
兄たちにも絶対言うなって口止めしてったの。」
「へー、由茉もなかなかひどいのね。」
はは、と笑う莉桜。
「俺めっちゃ調べてたのに。
荻山か秀に聞けばよかったな…」
と爽まで落ち込む。
「みんなごめんね?
戻ってきたんだからいいじゃん。」
私はそう言って席についた。
しばらくして担任がきた。
「えーと、全員いるなー?
じゃあ今日は始業式な。
そのあとのHRは~」
「先生!席替え!」
純が元気よく言った。
「はー?席替えー?」
「いいじゃん!2学期じゃん!」
「じゃあ蒼井くじ作れな。
頼んだ。
じゃあ式始まるから移動~」
そう言って朝のSHRは終わった。
…適当だな。
私たちは資料室へと移動した。
「じゃあはい!みんなも手伝えよな!」
純はそう言って席替えの準備を始めた。
仕方ないのでみんなで紙をきり
私が番号を書き、爽が折って箱にいれた。
「次こそは後ろの席頼んだ!」
みんなでやればすぐに出来た。
私たちはくじをもって教室へ戻った。
そしてみんなが戻ってくる前に
座席表を黒板にかき、番号を書く。
「なぁ、番号バラバラに書かねぇ?
順番にかくより面白そうじゃん。」
純がいった。
「そうだね、じゃあバラバラにする。」
私は純の言うとおりバラバラに書いた。
しばらくしてみんなが教室へ戻ってきた。
「先生くじできたよ~」
純がそういうと
「お前らも式でなかっただろ!」
と怒られてしまった。
「純ばかじゃん。
なんでばらしちゃうの。」
と哉斗が言った。
「まあいいじゃん。
席替え席替え~」
純はとにかく席替えがしたかったらしい。
純の意見が通り、席替えをすることになった。
私は一番窓側前から2列目。
窓側に縁があるな~。
私は席を移動した。
「三浦さん、よろしくね。」
「あ、うん。
えーっと…」
名前なんだっけ…
「高杉雅樹(たかすぎまさき)」
「あ、ごめん。高杉くんね。」
高杉くんはさわやかなイケメンくんで
女子からも男子からも人気のある人。
そんな人の名前も知らない私は
最初から仲良くする気がなかったんだろう。
「あれ、後ろ湊?」
「みたいだな。」
「わーい!
これで席離れなくても喋れるね。」
「だな。」
そして湊の斜め後ろには莉桜がいる。
純は廊下側の真ん中で可もなく不可もなく。
「前より全然いいわ!」
ととっても元気だ。
爽は真ん中の列の一番後ろ。
哉斗は純の隣
颯はど真ん中になった。
「じゃあ次は文化祭の出し物だな。
実行委員出てきて決めて。」
どこまでもなげやりな担任だ。
「じゃあなにやる?」
実行委員も適当だな。
「カフェとかやりたーい」
元気な明るめな女の子が
いきなり純のやりたくないカフェを言った。
「は?カフェとか絶対むり!めんど!」
案の定純がすぐに反対した。
「お化け屋敷とかは?」
「やだ。去年やったし。」
今度は颯が反対した。
「じゃあどうするー」
と適当な委員が言う。
「普通になんか売ればいいんじゃん?」
と哉斗が言う。
「焼き鳥は?」
「やだ。焼くのだるい。匂いつきそうだし」
とまた純が反対した。
「蒼井、反対ばっかしてねーで意見出せ。」
担任が口をだした。珍しい。
「なんかわたあめとかポップコーンとかは?」
私が言った。
「はは、わたあめとか由茉ちゃんっぽい!」
哉斗が言った。
「機械ねーだろ。」
と純がまた反対。
「そこは爽に任せるよ。」
「えー俺?」
「爽ならなんとかなるでしょ。」
「まあできないことはないけど…」
「純、どうなの。」
「由茉には敵いません。」
私たちは委員を無視して
遠い席なのに勝手に話を進めていく。
「他に反対は?」
誰もなにも言わない。
「実行委員、どうすんの。」
颯が聞いた。
「あぁ、じゃあわたあめでいいの?
ポップコーンなの?」
実行委員がきいた。
「爽、どっちの方が都合いい?」
「ポップコーンなら早いな。」
「じゃあポップコーン。」
私がそういうと
「ポップコーン、反対は?」
誰もなにも言わない。
「じゃあ決まり~。
味は?」
「ベタに塩でいいと思う。」
純が言った。
甘いの嫌いだもんね。
「えー絶対キャラメル。
俺キャラメルじゃなきゃやんなーい。」
出たよ、哉斗のわがまま。
結局純は負けてキャラメルになった。