「えー……今回の旅行はー…あー、修学、であって、決してー…遊びに行くわけでは、……」

もはや恒例とも言える校長の長ったらしい話。
当たり前だけど、聞き入っている生徒は誰一人といない。学年主任すらウトウトとしている始末。
頑張って考えたんだろうなー、とか、誰も聞いてないのわかってんだろうなー、とか、そう思うと少しかわいそうに思えてくる。
でもつまんないのはつまんないんだよ、校長。
諦めなよ、校長。
心の中でそう呟いていると、不意に校長と目があった。
一応優等生を装って、聞いてますよアピール。
もちろん、内容は全く入ってこない。


それから、しおりやらが配られてやっと学年全体が湧いてくる。
何故なら、この学校では行き先が毎年変わり、今このタイミングまで秘密だからだ。
ペラペラとみんながページをめくる音は、やはり子供のような好奇心に染まっている気がする。