「蒼ー!起きてるんだろう。早くしないと学校に遅れるぞ!」

一階から、父親の声が聞こえた。
その言葉に俺はハッとして、ベッドから飛び降りる。
朝からジメジメとした空気が、俺の機嫌をますます悪くする。これだから梅雨の時期は、なんて誰に言ってんだか。

因みに僕の家は、いわゆる父子家庭ってやつで。
母親は、海が死ぬもっと前に病気で他界。
今では当たり前のように二人暮らしだけど、そう思ってるのは多分俺だけで。
きっと父さんは心の中では辛いんだろうな、なんて………
……半分は俺が悪いのにさ。

「蒼!急ぎなさい!」
先ほどより声が大きく、少しお怒りの様子だった。
俺の短気も、父親譲りなんだろうなぁ。
俺も負けないぐらい大きな声で返事をして、着慣れた制服に手をかける。

問題ない、いつも通りだ。