「…………修旅、行くの怖いなぁ」
「え?」
急に声のトーンを落として、聖が言った。
「って顔してんで」
驚いて聖の顔を見ると、全てお見通し、というように笑っている。
「やっぱり分かってた?」
聖はそんな俺の問いに答えるそぶりを見せず、またパンにかぶりついた。
「怖いんやろ?」
「……うん」
「ふーん」
ふーんって………。
俺は文句を言おうとしたけど、口をつぐんだ。
俺は、これが聖なりの思いやりだって知ってるから。
聖は、俺が聖を頼りたいときはちゃんと言うってことを知ってるから。
聖の方を見て少し笑うと、
聖も「へへ」と笑い返してきた。
ありがとう、聖。
その言葉をかき消すように、俺はパンにかぶりついた。