チンッと可愛い音がなってエレベーターが社長室のある階に止まり、慎ちゃんと降りる。
「…あら梨沙、やっと来たの?」
と、そこには自分そっくりなママが…
違うな…私がママに似ているんだった。
実のところママはパパの会社の社員さん。社内恋愛の末に結婚したって前に聞いていたし結婚後も退職はしなかったので、別に会社にいてもおかしい話ではない。
でも、『やっと来たの?』ってことはママも私がパパに呼ばれた理由を知ってそう。どうせ聞いてもママのことだから慎ちゃんと同じではぐらかすだけだろうと思い聞かないことにした。
「パパ、中にいるから入っていいわよ〜。でもノックはしなさいね」
とヒラヒラ手を振りながら颯爽と歩いて行った。