目を見張って盛り上がって、静寂に包まれて。



「……おれ、初めて見た。流れ星」

「あたしも……」

「流れ星って、……本当にあったんだ」

「ね。なんか疑ってたよね」

「ねー……」



それは奇跡みたいな瞬き。

きれいだね、ってそれしか言えないようにみんな口々に言い合った。誰かがこんな夜ぴったりのバンド曲を流した。なんだ、これ。

星なんていつも頭上にあるのに。夜だけじゃなくて昼だって、見えないだけでいつもそこにあるのに。距離は遠いけど、遠い存在じゃ、ないのに。


その日はなぜか泣いてしまいそうだった。


全員が口をつぐんでこらえた。泣いたら視界が霞んで、儚いこの夜が終わってしまいそうな気がしたから。



わたしの隣には恒がいた。

夜空みたいな黒髪を空気に溶け込ませて、何も言わず空を見たまま。




「……恒?」




ひとりだけ静かだから、どうしたのかなって。気になって声をかけた、その矢先。