特に入念な計画も強い執着心があったわけでもなく、その日なんとなく。
高校2年の夏。
「今日の22時だって。流星群のピーク」
誰かがネットニュースを見てそう言うから。
別に誰も予定もなくヒマだったから。そうしない理由が思いつかなかったから。
夜みんなで屋上に忍び込んで空を見た。
今日の顔ぶれこの10人とプラス何人か。
わたしもいた。恒もいた。
非常階段を昇って鍵をあけておいた窓から入って、先輩から受け継いだ屋上の合鍵を使い。
華麗に侵入成功。
ドアを開けた瞬間飛び込んできた満点の星空に一同は一瞬、面食らったりして。
夏の夜は寒くなんてなくて、だから全員で大の字に寝そべって、まつげの先を輝かせて、談笑しながら見上げていた。
おそろいの制服たちが寝転ぶ光景をあの星は、火星は、どうやって見ていただろう。
「やばい寝そう」
「どんだけだよ。まだ10時だよ」
「健康な生活送ってるからさ」
「授業中寝てるじゃん」
「寝てないよ。目閉じてるだけ」
「開けてろや」
万華鏡みたいに光が散りばめられた星空に目が慣れて、油断して寝転んだままいつものくだらない話がはじまって間もなく。
一筋の光が、落下した。