窓の外には雪が見える。降ってたっけ。気付かなかった。舞ってる間は軽くて不安定で、あんなに綺麗。



「ちょっと疲れたでしょ。目とか頭とか。だからハイ」



そう言って、お菓子の袋を向けられる。
……休憩って、ことか。


ああ、こんなことしてる場合じゃないのに。刻一刻と未来は追いかけて来るのに。

今にも追い抜かれそうで、歩みを止めるのはこんなにも怖いのに。



人間は、みんなこんな怖い思いをしながら生きてるのかな。天体からしたら途方もない短い人生。このたった一瞬を、こんな重苦しい気持ちを抱えて。



「古文苦手すぎるんだけど。点数あがんない」

「あれは慣れだろ。それより数学な」

「数学はマークミスさえしなけりゃ安定していけるでしょ」

「大問1でノーミスが理想」

「やめようぜいま勉強の話すんのー!」

「それなー!」

「彼女ほしー!」

「物理満点に彼女はできねえよバァカ」

「だからあ!」



……それとも、みんなもう知ってるのかな。


未来は追い抜いていかないとか、ひと休みしても地球は廻るから大丈夫とか、きっとなるようにしかならないとか。