ひたひた、昼間とは少し違う表情の暗い廊下を歩いて灯りがついてる教室へ。

メッセージの主の教室だ。
いつだって傍には人が集まる。




「あっ碧(あお)!やっと来たー!」




ひらり手を振る、お馴染みの顔たち。ああ、みんないる。さっき別れたばかりの。まばらに10人。

いつもはここで机に向かっている組。

今日はどうしたの。机の上にはお菓子とパンとジュース。ノートと参考書は遠くの机に置いてけぼりで、緩んだ表情の受験生たち。

暑い。コート脱ごう。



「碧走って来たの?ほっぺ赤い」

「走ってないし全然まったく」

「いや嘘つけよ」



なんで走ったのか。ただラインが来ただけで。みんながいるって聞いただけで。なんであんなに猛ダッシュしちゃったのか。

なんだか悔しい。何故に。



「……今日は、どうしたの。何してるの」



好き勝手また話し始めた周りに、誰となく尋ねてみた。