そうやって、遠い遠い宇宙に近い近い未来を重ねて、たぶん希望を探してるんだ。

この星の住民たちは、不便で怖くて息苦しい中でも、そうやっていつも笑っていた。




「どう、びっくりした?嘘だと思う?」




悪戯に笑ってやって遠い空の上から隣の恒に視線を移す。恒はこっちを見ていた。

雪はまだ、不安になるほど儚く揺れて次から次へと落下する。ああ、いま気付いた。ホワイトクリスマスってやつだ、これ。


変わらない表情で恒は言った。



「別に。あり得ない話じゃないし、お前なら」



笑わない。馬鹿にしない。嘘だって、言わない。

信じるんだ。なんの根拠もないわたしの話。変なやつだ。やっぱり何考えてるか分からない。



「……へー、そっかあ」



ひどくゆっくりした口調でわたしは返して、口元はゆるんで。

広いのだ。世界は。宇宙は、無限なのだ。

狭い教室の中じゃ、気付けないけれど。気付けなくても、問題はない。変わらず明日が来て未来が来て、その日に繋がるから。


おもむろに恒が口を開いた。少し笑って、昔を思い出してるみたいに空中を見つめながら。



「ずっと、1年の頃から、こいつ腹ん中になに隠して生きてんだろうって思ってた。底知れねえなって。碧のこと」

「……恒は、わたしに興味ないんだと思ってた」

「なんでだよ。……まあ、だから、やっと納得」



火星人なら仕方ないな。

って、恒は席を立つ。