3年前に地球を植民地化するためにやってきた。
こっちの様子を見るために。


広い宇宙の中でどうして地球を選んだかって、だって青いって。青くて豊かだって。
見慣れていない青い星に、興味と好奇心が湧いて。前評判はバッチリ。


火星はもうボロボロだから、いずれは全住民が地球に移住する計画で。

って。わたしは言葉を紡いでいく。



「でもどうやら、地球人もそう考えてるんでしょ」

「え」

「いずれ地球を棄てて火星に移り住もうって。そのために今から火星を植民地化できたらいいなって」

「……そうなの?」

「……地球人て自分たちの星のことについてあんまり知らないよね」



たしかに地球温暖化とかオゾン層がどうとか温室効果ガスがどうとかは聞いたことあるけど、だからどうするかって聞いたことないな。って。

恒は窓の外を見ながらつぶやいた。



「ね。地球も負けないくらいボロボロで、移住するには全然向かないって報告しに帰らなきゃいけないんだけど、本当は」

「…………」

「居心地が、よくなっちゃって」

「……そらよかった」



同じ宇宙なのに、見え方がちがう。


星の位置も光の強さも。星座があった。ぜんぜんわしにもことにもはくちょうにも見えないけど。
本当は気の遠くなるほど離れた星たちを平面的に結んで像をつくって。

あと、流れ星が落ちる間に3回願い事を言えたら望みが叶うなんて、そんな不可能な願掛けも。