なんなんだ?と思いながらも
入学式の初日から目立ってしまったら
騒がれる日々が早まるだけ……


正直それは勘弁願いたい。


俺は感情を出来るだけ込めないように
その2つの花束を振り落とすと
机に顔を隠すようにして狸寝入りを
始めた。


スーツが皺になると母さんに
文句言われてもそこは譲れねぇ。


この席も渡さない!
目立つ事も絶対に嫌だ!!
断固拒否!!!!


喧嘩なら後でいくらでも
買ってやる。
でも今は勘弁しておくれ。


女子の方が俺からしたら
よっぽど恐ろしい集団だ…


すると、程なくして2人も諦めて
それぞれ空席を見つけて座ったようだ。


ホームルームが終わり席を立って
出来るだけ目立たないように
廊下へ出た。



ミカに早く逢いたい……


早足で外に向かって歩いてると
後ろからグイッと腕を引っ張られた。


振り返ると其処には
長身の2人の男が立っていた。


1人は俺よりは背が低いけど
1人は俺よりも背が高かった


2人とも俊哉みたいに女子から
絶大な人気がある事間違いなしってくらい外見が整っていた。


2人は俺の顔を凝視して
少しの間固まっていたが


いきなり吹き出した


「「ぷっ!!(笑)わははははっ
ぎゃははははっ!!(笑)
くくくくくくくっ(笑)!!!」」



訳がわからない俺は
早く帰りたいし
目立ちたくないので
掴まれた手を軽く振り払うと
その2人に背を向けて
歩き出そうとすると


「ああっ!わりぃ!!
あの席を死守する奴は
どんな面してんのかな?!と
気になって……
これはタマゲタ(笑)
文句の1つでも言ってやろうと思ったけど、これは仕方ない……
俺は水戸佑太郎…よろしくな」


「俺も笑ってゴメンっ!!
牧口来太…よろしくっ!!
駅まで一緒に行こうぜ!!」


2人との出会いはコレ……


なんだか腑に落ちないけど
駅までの道で
この2人とは気が合うと直感した。


そして、俺は愛しいミカの元へ帰った。
ミカはやっぱ世界一かわいい!!!!


新学期が始まって落ち着いたら
ミカの事もちょこちょことチェックしていかないと


こりゃヤバイぞ……
無自覚にも程がある。
まぁ、そこも含めて
かわいいんだけどさ!(笑)




そして、入学式の翌日
俊哉を2人に紹介した。
人見知りの俊哉だけど
珍しくすぐに意気投合した。


そして後日談だけど
俺らの意にはかなり反するけど
入学して数週間で
俺ら4人は学校でかなり目立つグループ
となってしまった……。


はぁ、1度でいいから
人の目を気にしないで歩きたい!!!
講義の時でも、飯食ってる時も
常に見張られている動物園の檻の中
にいるみたいだ……


勘弁してくれぇっーー!!!!!!!



王子様の苦悩
終わり。