「私の昼ごはん...」


いや、それは食後のパンだ。
本当はお腹いっぱい。

けど罪悪感を与えて謝られたい私は、残念そうに呟く。


「しかもレアなパン...」

「ほんっと申し訳ない!!」

「自分の身を守るために他人を巻き添えにして...」

「櫻井さんッ!」

「なんでしょう」

「僕は1組の滝川 直樹。知ってるでしょ?」


.......は?


「知らない」

「えー!?」

「誰。有名人?」

「いや、まじ...?」


コクリと頷くと、がっかりした顔でしゃがむ男、滝川。

そんなに有名なのか...

「僕は櫻井さんの事を知ってるよ」

「悪女って?」

「うん。まぁそんな事はどうでも良いんだけど、弁償するから!だから名乗ったの」

「...そう」