躊躇う事なく、
カーテンを開いて足を踏み入れた。



「...ひゃ!!」


突然カーテンを開けたもんだから、女の子は驚いて悲鳴をあげた。

驚いているのは女の子だけじゃなく...その子の下にいる男もビクッと肩を跳ねらせた。


てか...
私も驚いたわ!

取り込み中かなーとは思ったけど、まさか...男が女に押し倒されてるとは思わない。


「…なに、して...」


言葉になるかならないかの声で喋る私が言い終わる前に、


「櫻井さん...ッ!!」


突然立ち上がるなり、ガバッと私を抱きしめる男。


「な...ッ」


カーテンを開けてからの数秒で
思考が追いつかない。

コレは誰?

私の事を知ってるの?
...あぁ、悪女って噂が広がってるのかな。

いやいや、それより

何この状況!


「ちょっと何す...」

「黙って」

「!?」


腕の中にいながら、
耳元でそう呟かれた。


チラッと見える、相手の女は
呆然とコチラを見ている。

...そりゃそうだ!
男に逃げられた上に、別の女を抱きしめていれば!


「ちょっと、早く離れて」

「黙ってって言ったでしょ?」


男は妖しく笑みを浮かべた。