暫くお互い無言になった。
何の話題もなく、
居るだけの空気になった。
それでも別に気にしやしない。
早く居なくなれば良いのに。
お弁当を食べ終わり、
スマホをいじり始めた頃...
後ろで喋り声が聞こえて
思わず振り返ってしまった。
「本当にくれるの?ありがとう」
「い、いえっ」
「手作りなんて可愛いねー」
「そんな...大したものじゃッ」
........後ろで女を口説いてた。
まぁ意外性はないよ。
初めて見た光景は、襲われてる姿。
初めて会った時に急に抱きしめてくるし、さっきはキス。
うん、
女好きの女たらし。
今のこの光景は、
おそらく奴にとっては普通の日常なんだと思う。
呆れた目で見ていると、
奴にお菓子をあげたであろう女の子と
バッチリ目が合った。
「........なに?」
「5組の櫻井さんですよね」
「そうだけど」
「滝川くんと付き合ってるんですか?」
「んな訳ないじゃない」
「......ですよねー!!」
分かりやすく笑顔を向けられた。