「今ドキドキしてるんだ?」

「色んな意味でね!」

「もっかい、する?」


バコッ


咄嗟に頭を殴ってしまった。
これは正当防衛だ!


「本当、馬鹿!?」

「馬鹿かもねぇ?」

「わいせつ罪よ!」

「怖いなぁ、かわいい子が目の前に居れば食べたいちゃくなるよ、男は」

「かっ.....」


かわいい子!?

更に顔が熱くなる。
かわいいとは...なんだ!?


「あら可愛い、また赤くなった」

「うるさい!!」

「櫻井さんの唇、気持ち良かったよ」

「一瞬で分かる訳ないでしょ!!」

「あははっ」



完全に遊ばれてる気がする!

王子様は女遊びも余裕なんだね、さすがですね!

怒りが込みあがりながらも、
唇の感触が残る恥ずかしさで、
言葉が上手く出てこない。


「櫻井さんって実は初キス?」

「んな訳ないでしょ!」

「なんだ、つまらない」


つまらない〜っ!?

なんだコイツ!


「初めてだったら俺色に染めたのに」


また妖しく笑みを浮かべた滝川に、
またゾクッと鳥肌が立った。


...ん?


俺色? 俺?
コイツ、僕って言ってなかったっけ?