後ろからそっと手を伸ばし、
私の髪を静かに触るのが分かる。

何をしてるのやら。


「櫻井さんさぁ、」


やけに近い声。


「ドSに見せかけてドMじゃない?」

「........はっ!?........んっ」








奇妙な事が起きた。

振り返った瞬間、


唇が奪われた。





「ん.......っ!!」


柔らかい唇が重なった後に、上唇を甘噛みされる。

なんで!?

予想外の出来事に頭がついていかない。


フワリと甘い香りに包まれて、
変な錯覚を起こしそうになった時に、

唇は離れた。



「櫻井さん」


間近で見る滝川の目は鋭くて、
まるで...

獲物を狙う猛獣のようだ。


「僕に堕ちなよ」







妙な色気と妖しさがあって、
女を落とすには十分すぎる要素がある。

けど



「馬鹿じゃないの!?」


気持ち悪いとしか感じない!


「顔真っ赤にしちゃって」

「そりゃ...キスされたら当たり前じゃない!!」

「へぇ...いいねぇ」