どこかで聞いたような声に、ふと振り返ったら...



なぜか滝川が居た。




「...なに?」

「何って?」

「なんで居るの?」

「ん?キミに会いたくて」

「...は?」


噛み合わない。


「あれ?聞いてないの?ココに来るようにって」

「......は?あれって、アンタが呼んだの?」

「うん。呼んで来てって言ったら喜んで行ったよ、あの子」

「パシリね」


みんなの憧れの滝川に頼まれたら、喜んで行っちゃうのね...。

それで何の用なんだろうか。

弁償の件かな、きっと。


「パンは弁償出来そうですか?」

「無理かな。てかもう必要ないでしょ?ソレあるし」


ピアノの上に置かれてるパンを指差して、爽やかな笑顔で言う。


「だから、時間を弁償しようと思って」


もう一度、ニコッと笑顔を見せた。


...騙されないよ?
こうしてアンタに構ってる時間がもうロスなんです。

それを言おうか言わまいか悩む...



「櫻井さん、僕とやりたい事ある?」

「ない」


体ごとピアノの方に戻して
会話も強引に終わらせた。

...つもり。