「佐々木さん、そんなに滝川が好きなんだね」

「...好きというか、憧れです。」

「憧れ?」

「みんなに優しく、余裕たっぷりで、誰からも嫌われない。誰でも彼を知ってるし、キラキラしてて、」

「そこまででいいよ」


止めなければ止まらない気がした。

余裕たっぷり...?
いや襲われてなかった?

誰でも彼を知ってる?
私は知らなかった。


滝川という男は、よく分からない奴だなぁ...。


物思いにふけてると、


「...さ、櫻井さん...」


教室の扉から顔を覗かせて、私を呼ぶ男子に気付いた。

...なんとなく、告白されるのかなって嫌な予感がした。