最近はもう、“鷹巳”と呼ぶのに慣れて来た。“優梨”って呼ばれるのにも、いちいちびっくりしなくなってきた。



『…お前、空見上げるの好きだな…』


そういわれて、ふと我に帰って目の前に立っている鷹巳を見つめる。


『なんで?』


『よく見てる。待ち合わせのときはいつも』


あたしは小さい子が明日遠足でワクワクして寝付けない!っていうのと同じで、いつも鷹巳に会える日はわくわくして早く起きてしまう。
そして30分前には、いつも待ち合わせる大きな噴水の所に座って待っている。


『今日も早いな。まだ5分前なんだけど?』


――あなたに会えるのが楽しみで。

そんなことはもちろん言わない。


『あたし、早起きなんだっ』


そう、笑顔で返しておいた。
いつものように鷹巳のバイクの後ろに跨がった。