「ねぇ、もしかして。今人気のアイドル時聖瑠ちゃんでしょ?」

「え、ええ。」

「やっぱり。俺、ナイトっていうんだ。」

こんな子が、ナイトなんて無理。

また違う子がしゃべる。
「俺、レント。よろしくな。」

この子は結構いける。
ナイト。レントの隅っこで、おとなしくしてる子がいた。
「俺、リント。よ、よろしく。」

ギクシャクしてる。

「おいおい、リント。好きなアイドルの前だからって急におとなしくなんなよ。こいついつもはうざいくらいうるさいんだよ。」
「そうなんだ。」

うち的には、レントくんがタイプかな。

「時聖瑠ちゃんは、俺たちの中で誰がタイプ?」

「えっ。そ、それは。」

「あ、赤くなっちゃった。可愛い。」

からかわれてる?遊ばれてる?かも。

「おいおい。遊ぶなよ。ナンパ初めて何じゃないかな。」
だよね?っていうように首をかしげるレント。

うちは、恐る恐る首を縦に頷く。

「やっぱり?」とレントが言う。

「別に、答えなくてもいいよ。」
やっぱりレント君は、優しい。

「うちのタイプは、………レント君。かな。」

「え。マジ。俺、今、フリーなんだ。俺と付き合ってくれね。」という予想外の言葉を発するレント。

「いいよ。こちらこそお願いします。」

うちは、ニコっと微笑む。

隣に泣いている人もいて、

「残念だったな。リント。」

「うっ。うっ。しゃーないよ。本人がそう言ってるんだから。」

「じゃあ俺らは、二人でぶらつくわ。仲良くね。」
と言って嵐のように行ってしまう。