信号無視のトラックが、走ってくる。
何も知らない私達はまっすぐに、横断歩道を渡る。
最初の一歩の足を進めた瞬間。
そのトラックは急に、歩道へと突っ切ってくる。
ドンッ!
私は、誰かに肩を押された。次の瞬間。
バンッ!
さっきまで笑って喋っていた紫苑。
今は、真っ赤に染まっている。
「ねぇ、紫苑。返事してよ。」
私は、弱々しいながらも、血だらけで倒れている紫苑に声を発した。
「大…丈…夫だ…から。そ…んな…顔すん…な。」
とぎれとぎれだけど確かに聞こえた紫苑の声。
ピーポーピーポー。
救急車のおとがする。
私の頭は、真っ先に白くなった。