「しおん?誰だよそれ?俺。椎名。」

「ごめんね。あまりにも紫苑に似てたから。」

「そんなに似てるのか?」

「その話はあとにしてくれない?授業始まってるし。」

「だな。」


キーンコーンカーンコーン。

「さっきの話聞きたいんだけど。」
椎名君が言う。
「そうだね。あそこまで言っちゃったら言うしかないよね。ホントの話だから誰にも話さないでほしいの。」
「わかった。」
「ここじゃ話しにくいからどっか行かない?」
「屋上行こうぜ。」

私は、屋上に連れて行かれる。
「ここならいいだろ?」

「うん。ありがと。じゃあ話すね。」
私は、これまでのことをすべて話した。

「ふーん。そういう過去が、あったんだ。辛かったんだな。俺にもあるんだぜ。そういう過去。俺はなー。」
勝手に話し始めちゃったよ。

椎名君の過去。知りたい。
「俺は、恋人がいたんだ。樹音ちゃんそっくりだったんだ。ある日、その子はがんで死んじゃった。樹音ちゃんは、交通事故でしょ?似てるね俺達。取り残された運命。」
「ホントだ。」