おじいちゃんの家につくと、私はそそくさと鍵をあけ、中に入った。
誰も住んでいない家というのはどうも淋しい。しんとしていて、きれいに並んでいる生活感のない家具たちがなんだか冷たく感じる。
私はおじいちゃんの印鑑を探した。
おじいちゃんは確か、大切なものは古めかしいあの茶色い引出しに入れていたはずだ。
おじいちゃんの宝物いれ、なんて言ったら、少し幼稚すぎるだろうか。
この引出しは、ママが生まれたとき、死んだおばあちゃんがお祝いで買ったものなのだそうだ。
もともとはママのものだったらしいけど、ママがお嫁に行った後は、なぜだかおじいちゃんが使っていた。
私は引出しをあけた。
中には通帳やらお財布やらがはいっており、印鑑もしっかりと入れられていた。
鍵もついていない引出しにこんな重要なものをふつう入れておくのか、とも思うけれど、それはさておき。
きれいに整頓されている大切なものに混ざって、異様な存在感のある、少し黄ばんだ紙がその引出しの中には入っていた。
いったいなんだろうか。
私はその紙を手に取ってみた。
「え。」