病室の窓からは暖かい日差しが差し込んでいた。
おじいちゃんはぼんやりと窓の外を眺めている。何か考え事をしているらしい。
人差し指で目の下をなでるように触るのは、何か考えている時の、おじいちゃんの癖だった。
私はベッド脇の椅子に腰かけてその様子を見る。
おじいちゃんはいったい何を考えているんだろうか?
ベッドの上に広がる書類のことについて?
もう何年も誰もいない家を空けていることへの心配?
それともだらしのないママやおばさんへの財産相続についてだったりするんだろうか。
ああ、くだらない。
残りどれくらい生きられるかわからない中、なんでそんなこと考える必要があるのだろうか。
もっと自分のことだけ考えていればいいのに。
まあ、考えることができないというのもわからなくはないが....。