「お父さん、ごめんね、ごめんね。喧嘩別れになっちゃったね。」


ママは溜めていたものを一気に噴き出したかのように泣き崩れた。

そしておじいちゃんの手をぎゅうっと強く握った。ママの泣く声は病室中に響き渡った。






私は信じられない、変な気がしていた。

おじいちゃんがこうしていることも、ママがないていることも。

昨日の今日で人というのはこうも簡単に離れて行ってしまうのだろうか。

ママはきっと泣きながら事実を理解しているんだと思う。

でも私にとっては嘘ごとのようにしか思えてならない。



受け入れることを拒んでいるというのではない。ただ、理解するのが難しかったのだ。本能的に感じ取っているに過ぎないのだ。



泣いているママはなんだかかわいそうだった。

それもそうだ。


私はおじいちゃんにあったけど、ママはさっさと帰ってしまった上に、おじいちゃんと喧嘩してしまったのだ。

おそらく、もう二度と仲直りすることは叶わない喧嘩を。