あえて道路側を歩く彼を見るたびに
私はハル君を思い出す。
彼もまた、そうだったから。



「間違ってるよ、こんなの!!」


私は立ち止まる。
電灯は辺りを明るく照らす。



「間違ってるって?」


彼もまた立ち止まる。
電灯の下、二つの影が重なる。



「私たち……別れるべきだ……
だって、私……私は……」


「ハル君、が好き なんですよね?」



「えっ……」




「長門 春海が好きで 俺のことは嫌い。
だから、間違ってる。」


「…………そうよ!!
私は、ハル君が好き。
わかっているなら……!!」



わかっているなら、どうして…………
どうして、そんな悲しい眼をするの?




「先輩。」



「なに……?」





「先輩は、まだ気付いていないんです。」



……気付いていない?何に?




「俺たちは、最初から間違ってたんです。」




……何を間違っている?





「長門 春海も、入家 さくらも俺も、そして、先輩も」


……私たちは何に間違う?


「みんな、間違ってる。」


「だから、これ以上、間違えようがないんですよ。」