今日の仕事場は次に出す曲についての話し合いだった





そのとき言われた一言が耳にこびりつく







『いやー、こんな売れるなんてねぇ…また売れる曲書いてよぉ』







『売れる曲』








そんなつもりで書いたんじゃない







ただ、思い出をなんかの形として残したかっただけだ






香奈ちゃんとのおもいでを、僕の気持ちを






あの曲は6年前に死んだ香奈ちゃんへの気持ちを書いたものだった





死んだ恋人をずっと想い続けてる男の歌







でも香奈ちゃんは恋人ではなかった、ただの幼なじみだ






いつも一緒にいた







いつも隣にいてくれた







辛いとき



悲しいとき



嬉しかったとき



寂しかったとき



隣にいてくれたのは



香奈ちゃんだ






ほんとは逆かもしれないけど





僕のほうがそばにいなきゃいけないかもしれなかったけど、だけど香奈ちゃんは側にいてくれた








なによりも大切な存在だった







「くすんっ」








思い出したら悲しくなっちゃったよ






もう寝よ