それからは、どうやって家に帰ったのかわからない。

気がつけば、自分の部屋のベッドに寝転がっていた。


胸が‥‥痛い‥‥‥。


ずっと美涼姉ちゃんから聞いた言葉が、頭から離れない。


『 楓花ちゃんは、婚約者よ 』


優太の‥‥婚約者‥‥‥。


どうして?

どうしてそんな大切な存在がいながら、あの時キスなんかしたの?


分からない。


「優太が‥‥‥分からないよ‥‥‥」


私は、声を殺して泣いた。


苦しい、苦しいよ‥‥‥。


止まることを知らない水のように、私の目から、止めどなく涙が溢れてくる。