これは、私が大学四年生の時のお話し。


人生で初めて、好きな人ができた。



私の名前は、細井あおい。彼との出会いは友達が企画した飲み会だった。
名前は、田中陽。歳は、私の三つ上の24歳。大阪の国公立大学を卒業しており、会話からも、見た目からも、知的さが感じられた。
でも、彼との会話は、決して難しいものではなかった。誰にでも、分かりやすく話が進められるように言葉を選んでくれているような、気遣いを感じさせた。


席替えでたまたま隣に座った彼は私にこう言った。

「あおいちゃん、俺の知り合いに似てるんだけど、不思議だなぁ」

そう言うと、彼は言葉を詰まらせた。
そしてすぐに、こう続けた。

「知り合いは可愛いなんて思ったことないのに、あおいちゃんはすごく思う…

…可愛いなぁって」


彼がどんな気持ちで、そう言ったのかはわからない。

本当にそう思って言ってくれたのか、それとも、誰でも良かったのか。


その日から、彼の猛アプローチがスタートした。