「うげ、席替えかよ。」

担任の言葉にあからさまに嫌な顔をする千影。
俺達は狭蘭という暴走族に所属しているが、学校は割と真面目に来ている。

「まぁ、いつも俺らは固まってるから別にいいだろ」

俺はそう言っておいた。
そして席替えをすると俺の隣がなぜか地味な女だった。
一言も話さず長い前髪で顔を隠している女。

それが愛華との出会い。

「ねぇねぇ。君名前なんていうの?」

翔は興味津々でその女に声をかけた。
どうせ他の女のよう媚びを売るんだろ…
と放って置いたら。
その女は携帯を取り出し何か文字を打ち出した。

『私に話しかけないで』

そう文字を打った画面を見せられ、俺は目を丸くした。
こいつ言葉が話せないのか?

それにしてもこんな対応初めてだ。