心ちゃんの病気は完治した、と誰もがそう思っていた。
もちろん、心ちゃん自身も。
医者だってそうだ。
だけど、心ちゃんを授かったくらいにまた再発した。
どんどん悪化する一方だった。
このままでは、どちらかは助からない。
そう言われて、2人はすごくすごく悩んだ。
赤ちゃんを流して、心ちゃんが助かるか。
心ちゃんの命を犠牲にしてでも、大切な授かりものの赤ちゃんを産むか。
何度も何度も、
たくさん涙を流した。
だけど、2人は決めた。
自分たちが愛し合った証のこの子を。
心優ちゃんを産もう、と。
心ちゃんは、どっちにしろ自分は短い命なんだから。
と。
そう、涙を飲んで笑っていた。