「だけどあのときの俺はもういない。

ここにいるのは私、雨宮 楓よ」



そう。

“最強の不良”と言われるほど強かった俺はもういない。

普通で平凡な私になったの。



「雨宮 楓、お前に頼みがある」



まるで私が言ったこと聞いていなかったような口調でそういう若宮 四季にすこしムッとする。



「……なによ」


「お前に、俺側にきて欲しいんだ」


「いやよ」


「雨宮ちゃ〜ん、即答はやめてよ〜」



俺側、つまり若宮 四季組ということ。


私はあんなクソみたいな3年組にはつかないからもちろん若宮 四季組だが、

私はそこまで鈍感じゃない。


若宮 四季は私に一緒に戦ってほしいと言ってるんだ。



「私はもう喧嘩はしないわ」



もう、誰かを守ることだけしかこの拳は使いたくないんだ。

……扉のところにいたふたりはあれはしのを守ることにしよう。